上海の水質汚染の現状

写真-1 上海市江橋生活ごみ焼却場
  長江や黄河など世界的な大河川を抱える中国の総水資源は、総量では世界第6位です。しかし、一人当たり水資源総量は2277m3で、しかも、降雨量の季節偏在および年格差が大きいため、水資源利用の安定と効率向上が困難な状況となっています。
  表-1をみると、主要河川流域ごとの一人当たりの水資源量が全体的にも少なく、流域間の格差が大きいことがわかります。特に、中国を代表する大河川である黄河流域では、458(m3/年・一)にすぎません。私たちは、普段お風呂に約2m3の水を使用しますが、単純計算では229日分しかないということになります。
 上海は水の都でもあります。上海市内に大小約32000Kmもの河川が流れています。日本の利根川が322Kmですから、約100倍近い長さになります。水域の面積は市域の11%(約70Km2、川崎市の約半分)に達しています。
  しかし、汚染により飲用可能な水資源は地表水の20%しかありません。一人当たり水量は世界平均の10%程度です。また、河川が汚染されるということは、汚染水の注ぐ海も当然汚染域が広がることになります。
図-1 上海市の水質汚染状況
「中国汚染地図」http://www.ipe.org.cn/dtfd.jsp

コラムー中国の環境問題

宋 琳晶

国際協力銀行開発金融研究所(2004):「中国北部水資源問題の実情と課題ー黄河流域における水需給の分析ー」81頁

注:流域面積・耕地面積は1993 年、その他は1997 年のデータである。黄河流域面積の値については、出所によって少し異なる。本表の80.0 万km2 は『中国統計年鑑2001』に記載されている値79.5 万km2 より少し大きい。この違いは、河口部三角州の面積の扱いによるものと推察される。
出所:流域面積・耕地面積は『21 世紀 中国水供求』(中国水利水電出版社)、人口・GDP は『中国水資源現状評価和供需発展趨勢分析』中国工程院、降水量・水資源総量は『中国水資源公報1997』(水利部)
流域面積
(万m3)
人口
(万人)
GDP
(兆元)
耕地面積
(万ha)
降水量
(億m3)
水資源総量
(億m3
一人当たりの水資源
(m3/年・一)
松遼河 123.9 11720 0.80 1946 5612 1683 1436
海河 31.8 12270 0.89 1084 1165 212 173
淮河 33.2 19740 1.09 1467 2225 625 317
黄河 80.0 10530 0.52 1241 2631 482 458
長江 179.9 42000 2.55 2293 18338 9274 2208
珠江 57.7 14590 1.04 548 10829 6478 4440
東南諸河 20.4 6820 0.62 240 4037 2433 3567
西南諸河 84.2 1990 0.05 169 8662 5356 26915
内陸河 349.5 2670 0.13 547 4670 1311 4910
全国 960.1 122320 7.70 9635 4670 27855 2277

表-1 中国の主要河川流域の面積、人口と水資源の状況 

中国全体の環境問題の現状

写真-1 北京郊外部のゴミ処理・処分場

  2001年のデータでは、上海の一日生活ごみは10000トン発生し、
仮に毎年一人当たり10%増えると、2006年には年間ごみ発生量は
600万トンになります。
 2002年時点で県、区、村の生活ごみ処理場が1349箇所があり、
汚染に関するデータが公開されていないために詳細は不明ですが
施設や処理技術や管理技術が低く処理場周辺の環境汚染が深
になっています。
 そこで、上海では中国初の大規模ストカー方式ごみ発電プラント
(EU排ガス基準採用)を建設しました。
1日あたりの焼却能力は1500トンです。

 中国は現在「世界の工場」と呼ばれ、また来年(2008年)には北京オリンピックを控え、目覚ましい勢いで経済発展を逃げています。その一方で、水質・土壌汚染やゴミ処理問題など、様々な環境問題も目に付くようになってきています。国全体にわたる「都市化」が進み、かつて日本も経験してきたような環境変化が起こっているのです。しかし、日本と中国では、いろいろな意味でスケールが違います。ここでは、公開されている資料もとに、中国の環境問題について考えてみたいと思います。

  現在、都市化と生活水準の向上により都市部から出るゴミは増えています。
1998年の統計では、667の都市で1億4200万トンのゴミが発生しました(日本は
約5000万トンです)。ゴミの量を年間7%のペースで増えるとすると、2012年には
2億トンのゴミが発生すると予測されています。(「チャイナネット」2002/04/27)
 現在、ゴミ処理・処分率は60%に留まり、処理やゴミ資源化の割合が低いた
め、ゴミ汚染は深刻さを増し、政府として積極的に取り組むべきの社会問題の
一つになっています。たとえば、首都北京でも、市内日ゴミ発生量は10490トン
郊外部日ゴミ発生量は4220トンで日処理能力10350トンを超えています。市内
のゴミ無害化処理率は95.1%、郊外の無害化処理率は46.6%で郊外部のゴミ処
理・処分が非常に遅れています。
 また、ゴミ処理・処分方法は主に埋立で、北京の生ゴミの資源化は10%に留
まり、分別さないまま埋立られている現状もあります。

 このような状況から、上海市も汚水処理計画を策定し
ました。これによると「十五」(2001年〜2005年)期間
汚水処理率は70%に達し、2008年には汚水処理率75%に
達し、2010年は汚水処理率は80%、2020年に90%に達成
する予定です。
図-2 上海周辺海域の水質汚染状況
「中国汚染地図」http://www.ipe.org.cn/dtfd.jsp
上海のゴミ処理の現状
中国全体のゴミ処理の現状

中国全体の水質の現状