2008年応用地質学会報告

 花崗岩分布地域では、深層風化が著しいところが多く、表層崩壊
が多発するとともに、風化部が緩み岩盤となり比較的規模の大きい
岩盤崩壊や地すべりを発生することがある。 風化花崗岩の表層崩
壊のメカニズムについては稲垣(2000)以降その詳細がわかってき
ている。それに対して、規模の大きい地すべりについては未だ不明
な点が多い。これらの大規模地すべりの発生メカニズムを知ること
は、地域の防災計画に多いに役立つことである。
 そこで、山梨県北部の花崗岩体を対象として、風化花崗岩の岩盤
の緩みと地すべりにいたる過程を地すべりの変位率を基準としてま
とめた。筆者らは、2006年には四国の結晶片岩を対象として破砕帯
地すべりの初生地すべりが変位率2.5%で始まることを示した。また、
2007年には、中越地方の第三紀層地すべりの初生地すべりが変位
率5%で始まることを示した。今回、第三紀と同様に軟岩として扱
われている風化花崗岩でも変位率が5%を超えると、初生地す
べりが始まることがわかった。

下河敏彦・稲垣秀輝:宅地造成地盤の災害事例と今後の危険度予測

10月30、31日と2日間にわたって、応用地質学会が開催され、当社の社員も発表を行いました。

Abstract

鵜沢貴文・小坂英輝・下河敏彦・斎藤華苗・大久保拓郎・稲垣秀輝:風化花崗岩の緩みと初生地すべり

Abstract

岩盤の変位率と地すべり発生との関係は、破砕帯および第三紀
層について研究が蓄積されたきたが(稲垣ほか,2007など)花崗岩
分布域での研究事例は少ない。

Abstract

稲垣秀輝・鵜沢貴文・小坂英輝:山梨県北部風化花崗岩の変位率と地すべり

本研究では、岩盤スケッチや割れ目の分布形態、累積開口量の
解析結果を基に、風化花崗岩地域の岩盤の緩みから初生すべり
に至る過程を明らかにした。

 1995年の阪神・淡路大震災や2004年新潟県中越地震
では、地震時に谷埋め盛土が滑動を伴う変形により造成
地の宅地に重大な被害をもたらした。本報告では、最近
の大規模地震による盛土造成地の被災状況の調査結果
と、被災前の地形や地盤との関連とを検討し地形図及び
空中写真判読、地表踏査を踏まえ宅地造成地盤の変状
を調査した。
 その結果、 主として下末吉相当の段丘面を開析する浅
い谷・凹地には、道路や擁壁のクラックや段差等の変状
多く認められる傾向があった。
 また、地すべり地形を改変して造成された宅地では、 擁
壁や住宅基礎部の縦クラック、はらみだし、排水口の機能
低下が顕著である。これらの変状は、兵庫県南部地震時
の被災した宅地の変状の形態と類似している。

対象斜面に発達する2方向の共役割れ目は交角が約60°(45°+φ/2)
でありφが30°程度と考えられる風化花崗岩の共役割れ目の交
角とほぼ一致している。
中央部はあたかも一軸圧縮試験時に起こ
る共役割れ目と同様である

つまり、内部に発達する共役割れ目は断続的に発達していること、
末端部が土砂化していることから、
この緩み岩盤は初生すべりに
至る臨界状態に近い.

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