鉄根打設工法

崩壊の可能性のある表層に穴の開いた鉄根体を打ち込み、表層崩壊を防ぐ工法です。
一か所から多方向に鉄根体を打ち込み、根系が持つ緊縛効果、基盤と表層を掴む杭効果、排水を促して過剰な間隙水圧を減ずる吸水効果があります。

適用できる場所

  • 道路等の法面及び斜面法肩の法面工
  • 砂防の堰堤の法面工
  • 山腹斜面のアンカー工
  • 公園周辺斜面の法面工

などの表層崩壊を起こしうる箇所。

これまで、斜面や山腹の表層崩壊を防ぐための工事では、まず斜面に生えている樹木を伐採することから始めていました。その後、法面工事や排水工事、地山補強工事を行ってきました。ただし、このような方法では樹木を取り除くために、周辺の住環境に悪影響を与える可能性がありました。

弊社が開発した【鉄根打設工法】は、樹木を切らずに表層斜面崩壊を防ぐ新しい技術を提供します。森林の植生は、山の斜面において重要な役割を果たしています。例えば、林床部の根系は強靭で、網のように土壌を縛る「緊縛効果」があります。さらに、大小様々な杭のように機能し、地面をしっかりとつかむ「杭効果」や、斜面を崩壊させる原因となる過剰な間隙水圧を防ぐ「吸水効果」も持ち合わせています。

【鉄根打設工法】は、これら森林の根の国土保全機能を、鉄の根っことして設計された鉄根体で補完・強化するものです。具体的には、直径16mm、長さ約1mの穴(Φ5mm)が空いた鉄根体を使用し、先端を特殊な形に整えて地面に入りやすい工夫をしました。電動ハンマーを使ってこの鉄根体を打ち込むことで、受圧板に沿い、1箇所につき4~5本の鉄根体を様々な角度で配置します。これにより、緊縛効果、杭効果、さらには間隙水圧の抑制が可能になります。

従来の方法では、斜面の表層崩壊を防ぐために、樹木を伐採し、指定された傾斜を作るために斜面を削り取った後、鉄筋を挿入したり、モルタルやコンクリートで斜面を覆いました。そのため、工期が長引き、大規模な工事になりがちで、費用も多額でした。

鉄根打設工法は、樹木を切る必要がなく、自然の森林植生を活用します。このため、従来の工法に比べて工事期間が短く済みます。結果として、工事費用もかなり安く抑えられます。

なお、プレボーリングの必要がありません。